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『超訳百人一首 うた恋い。』1~3巻&『超訳百人一首 「うた恋い。」【異聞】うた変。』 [コミック]

やっと『うた恋い。』の日記が書けた。
このシリーズ好きです。
杉田圭さんの描く人物はキャラが立っていて読みやすい。
表情がよくて、生きてるって感じがする。

単純に百人一首の歌の意味や背景を解説するだけじゃなくて、
『大鏡』や『和漢朗詠集』、『明月記』なども踏まえた上で話を組み立てて、
詠み手同士の横のつながりや親類関係、
当時の政情、政局になにげなく踏み込んでいるところが好き。
恋の歌を取り上げた話でも、恋愛と自己実現、誇りと孤独の間で迷って足を止めて
もやもやした気持ちを歌で昇華しようとする人たちの姿に共感する。

それはさておき『うた恋い。』は、背景に飛んでいる花のセレクトが楽しい。
デザイン化されているから違うかもしれないけど、1巻の表紙はシャクヤク?
それともアンジェリケみたいな八重咲きのチューリップ?
さらにオンシジウム、ヒペリカムが一緒に描いてあって、組み合わせも飛ばしている。
本編のセリフもいきなり定家が「パトロン」とか「センス」とか言ってるモダンな作風だから
花の渡来した時期や自生地は気にならないけど、面白いねえ。

『うた恋い。』2巻の表紙の3人は、それだけ見ると色っぽいような三角関係に見えて、
本編を読んでから改めて表紙を見ると気の置けない悪友の雑魚寝に見える不思議。
お酒が入って興に乗って話し込んでそのままクラブ室に泊まりこんじゃうサークルの合宿状態。
それで、実は宗貞お兄さまが小町の手をとっているのがステキ。
花はさすがのカキツバタ。
宗貞お兄さまは秋がテーマなのかな。菊から始まって、
ヒガンバナ、キンモクセイ、モミジ、イチョウと百夜通いの時間の経過を植物で表している。
あとですね、むかし、「古典で『花』と言った場合、万葉集なら梅、古今和歌集なら桜」、
と言われた記憶があって、だから小野小町の「花の色はうつりにけりな~」の歌は、
桜の花が長雨に当たっているうちに傷み、色褪せてしまったというイメージだったけど、
ここの小野小町さんはロウバイを見ながら詠うんだな。

『うた恋い。』3巻の表紙は表側を見ただけだと、この女の人が誰かわからないけど、
裏返すとニワトリと梅で清少納言だとわかるのが楽しい。
月下美人は藤原義孝・行成親子のテーマみたい。
3巻になるともうガンガン背景に花が飛んでいて、ウメにユリにスイートピー、キキョウ、アリウム?
実方さんが諾子に差し出しているのはウツギに見える。

『うた変。』の貞明&綏子様ご夫妻も、可愛らしくてわくわくするよ。
見開きページで背景がバラとスズランだよ!
清楚で初々しくて純粋で純愛!
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