SSブログ

『泣き虫弱虫諸葛孔明』 [読書]

『帝の至宝』を読んだら、酒見賢一さんの『後宮小説』が読みたくなって、
そのまま続けて酒見作品の『泣き虫弱虫諸葛孔明』と『周公旦』も読んできました。
『陋巷に在り』はどうするか悩んでいます。だって13巻もあるんだよ。

『泣き虫弱虫諸葛孔明』、第壱部も第弐部も面白かった。
物語の本筋は孔明を主人公に、主に『三國志』と『三国志演義』を読み比べながら
進んでいくんだけど、そこに酒見さんの語りという色が加わって講談のように楽しい。
愛と魔法が飛び出す魔法のプリンス孔明が何か行動するたびに「爽やか」という
修飾語がつくのが胡散くさくて、とても楽しい。

まじめな考察もたくさんあって、『三國志』と『三国志演義』の解説にもなっているし、
諸国の事情も人間関係も中国文化の基礎知識も噛み砕いて説明されるので
たいへんわかりやすいんだが、一方で、やくざ言葉で話す呉の皆さんのこなれたやりとりとか、
「おめかけさんでもやれうれし。周郎のとなりでねむりたい」という手まり唄とか、
覚えてしまうんですが、どうしたら。

孔明と奥さんの黄氏が異次元のラブラブカップルで微笑ましい。
正しい歴史認識のくだりは、なるほどたしかに、と納得すると同時に
酒見さんのいう黒い勢力に圧力を掛けられたり消されたりしないか心配になる。

第弐部のプラントハンター諸葛亮&龐統がハーバリストになるシーンが好き。
孔明が士元に「鳳よ! 鳳よ!」と、楚の狂接輿とウィリアム・ブレイクの「虎」を
混ぜたようなあやしい歌で呼びかけるシーンで大笑いした。
いい翻訳なんだ、これが……教養をムダに使って、大スキ。

全体を通してはさすが三国時代、スケールが大きい。ポンポンと首が飛び、ポンポンと人が死ぬ。
(話はあまり飛ばない。まだ長坂坡の戦いが終わったところ)
わたしのような三国志の知識がほとんどない人間がこれだけ楽しいので、
三国志に詳しい人はもっと楽しいと思う。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0