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『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー 1』 [読書]

五代ゆう著、『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー 1』。
2004年にアトラスから発売されたRPG、
『デジタルデビルサーガ アバタール・チューナー』の原案小説。
今月から隔月で全5巻出版予定。表紙イラストは前田浩孝さん。

クォンタムデビルサーガはシャープな文体。
ツボミの形状やエンブリオンアジトの描写などは違和感なく、
ゲームの画面と同じ絵が脳裏に浮かぶので、何度も推敲されているんだろうと思う。
ゲームでは無口なサーフの口調や思考回路も、自然に感じられてよかった。

ハーリーQの「だっておまえら、喰ったじゃねえか」や、
サハスララのカルマ教会でのエンジェルとのやりとり、
アルジラとヒートの「喰らうこと」への考え方の差などは、ゲームのシナリオとほとんど同じ。
最初からゲイルとシエロがサーフに同行しているのは小説ならではかな。
一行一行、丁寧に読んでしまう。
ゲーム本編とどうしても比較してしまうんだけど、そういう楽しみ方でもいいだろうか。

ストーリーの大筋とは関係なさそうな部分は、
すでにゲームと違っていたり、ゲームよりも詳しく説明されていたりする。
アートマの暴走を止めるのにセラの歌だけでなく血が必要だったり、
参謀の機能・役割、ハウンズのリーダーの名前も違う。

殺伐としたジャンクヤードて、自我が目覚めたエンブリオンのメンバーが
生き生きと会話したり、戦っているのを読むのは楽しい。
エンブリオンとメリーベルの同盟後、
ジナーナがエンブリオンのアジトに遊びにきてるのはオリジナル展開。
アルジラとジナーナが女子トークしていたらなんか可愛いな。
朗らかで明るい場面なんだけど、ゲームのこの先の展開を知っているからハラハラする。

原作小説ではなく原案小説なので、この先の展開がゲームのDDSAT1&2と
どう乖離して行くのか、どこまで沿って行くのか、続きが楽しみ。
直前に読んでいたのが伊藤計劃さんの『METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS』
だったので、ガンズ オブ ザ パトリオットはノベライズ、
QDSATは原案小説という両者のスタンスの違いをつい考えてしまう。
オリジナルはどんな話だったのか、知るのが楽しみだ。
……と思っていたら、最後の50ページでストーリーが予想外に曲がってきたよ。

え、ソリッドのシタデル攻略後にジナーナ生き残っちゃうの?
ジナーナは好きだから嬉しいけど、太陽でのセラフィックロア継承イベントは?
セラもラーフに誘拐されないし、ブルーティッシュに謎の存在が登場しちゃったよ。
小柄な男で黒髪で一人称が「僕」ということは、もしかしてシェフィールド?
自発的にハンドガンの訓練するセラは、仲間に守られているばかりじゃなくていいな。
さらに最後の1ページでルーパも登場。
あれ、ハウンズのリーダーとは別にルーパも存在しているの?
ひょっとして『ルーパ』はサーフとヒートの最初のリーダーだった人の転生体?
(この場合の転生は、ジャンクヤードを循環する情報の一部を継承している存在という意味)
この先、いったいどうなるのだ。ポイント136や巨船の残骸はどうするのだ。
一気に次巻へのヒキがきました。

サーフと瀕死のジナーナを乗せてエンブリオンアジトまで戻る
スフィンクス(メリーベル構成員)はカッコよかったです。

QDSATを出版してくれてありがとう、早川書房。
『マルドゥック・スクランブル』の出版の経緯といい、早川書房は見る目がある。
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