SSブログ

『ピアノの森』 17巻 [コミック]

ショパン・コンクールの続き。
アダムスキまさかの一次敗退の波紋と、第二次審査の幕開け。
カイがメインの16巻から一転して、この巻ではアダムスキとパン・ウェイに照明が当たります。
『ピアノの森』は、天才型主人公の一之瀬海(カイ)と努力型ライバルの雨宮修平を中心に話が
進むけど、彼らだけでなく、コンクールに参加しているピアノ少年少女たちの心理描写が熱いです。

……という真面目な感想と同時に、なんとなく思う、なにこの阿字野先生萌え漫画。
前々から思っていたけど、パン・ウェイのエピソードを読んでやっぱりそう思った。
阿字野先生大好きだけど、あまり素晴らしいキャラになると漫画全体のバランスが心配だ。
交通事故でピアノを弾けなくなって以降、表舞台を退いたせいで伝説的な存在になっている気がする。
カイにジャン爺に雨宮パパにパン・ウェイに etc.……モテるよねえ。
だから、この巻でクリスティナが、阿字野に憧れと焦りを持っている雨宮パパに
「あなたのピアノの方がずっと好きだったのよ!」というシーンは、いっそほっとした。
阿字野壮介の興奮剤みたいなピアノと、雨宮洋一郎の鎮静剤のようなピアノ。という
クリスティナの表現は好きだな。

アダムスキは最初から優勝候補の一人として登場して、華やかで、
世間の評判が高過ぎてわかりにくかったけど、ショパンに対して真摯な演奏者だった。

雨宮くんは、アダムスキの助言でようやく殻を破ったかと思ったら、
直後にカイに「友達は選べよ」とか言っちゃって、この子はまだまだ不安定だなあ。
アダムスキをかばいたくての発言でも、親切心からの忠告でも、不器用だ。
雨宮パパが無自覚に息子を追い詰めていることに、この親子は気付いていないのな。

パン・ウェイは堂々としていて端正で、凄絶な子ども時代を
阿字野壮介のピアノに憧れて育ったという第2のカイみたいな部分もある。
緊迫感ある演奏の後、スタンディングオペレーションする聴衆の中に
阿字野がいることに気が付いて表情を緩めるシーンは、おや、可愛い。
若き日の先生のピアノについて、周りの人の評価は聞けるけど、
本人がその当時、何を考えて、どういう気持ちで演奏していたかは描かれていないから、
パン・ウェイのエピソードに関連して読めたらいいなあ。

17巻は、カイの出番は多くないけど、第二次審査の会場で、
阿字野がパン・ウェイのピアノを聴いたらどう思うか、気にしてるのがよかった。
この師弟はお互い、素朴な思いやりがあって、応援したくなる。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0