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『ヴェヌスの秘録2 炎の聖少女』 [読書]

『ヴェヌスの秘録』シリーズ、2巻。
1巻が発売されていることを知らなかったので、
通りかかった書店の棚で偶然目に入って驚きました。
この本だけで一つの話としてまとまっているので、2巻から読んでも大丈夫だと思います。

内容は近世ヴェネチアがモデルの都市、
ヴェヌスを舞台にしたファンタジーというか架空歴史ものです。
宗教的、神話的な象徴やモチーフがふんだんに散りばめられているけど、
この本はあくまでも人間の話だったので、架空歴史ものかな。
教会権力が人々の生活をがちがちに締め付けるなか現れた異能の少女が、
東方から異教徒の船団が押し寄せてきた際、聖女として利用される話。

それだけだとオルレアンの聖女のパロディのようだけど、
色即是空というか因果応報というか、諸行無常な感じがする。
『パラディスの秘録』を読んだときも思ったけど。
近世イタリアが舞台なのに、色即是空。
登場人物たちが過酷な状況に置かれていても、
遠い昔にあった出来事を語るように突き放して書いている。

主人公の名前が立場によって変化するところとか、
奴隷にして聖女にして魔女なところとか、裁判に引きずり出される場面とか、
今までに読んだタニス・リーの作品から共通するパターンを思い出してちょっと楽しかった。
(ハラハラした部分もあった)
今回は脇役までかなりハッピーエンドだったので良かったです。
ダニエリュス大司教は興味深い人物だった。
エピローグは彼の独壇場ー。


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